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2022.10.01外食分野で特定技能外国人を雇用するための要件・方法・注意点について
目次
1.特定技能「外食業」創設背景
2.外食業分野の現状
3.特定技能「外食業」の制度概要
4.特定技能「外食業」の資格取得の要件
5.特定技能「外食業」の受け入れの現状
6.特定技能「外食業」の受け入れの要件
・就業場所
・雇用形態
・業務内容
・特定技能所属機関(受入れ企業)に特に課す条件
・報酬
・外国人支援計画・支援項目
・特定技能協議会
7.まとめ
1.特定技能「外食業」の創設背景
・特定技能とは、人手不足が深刻化してきている産業分野において、一定の専門性・
技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れるために、2019年4月に創設された在留資格です。
現在のところ、12の産業分野で特定技能の在留ビザが認められており、「外食業」もその一つです。
・特定技能は1号と2号の2種類がありますが、現在のところ「外食業」は特定技能1号のみです。
・外食業分野では、2019年から向こう5年間で29万人程度の人手不足が見込まれて
いますが、年0.5%程度の必要労働者の効率化(5年間で11.8万人程度)及び
追加的な国内人材の確保(5年間で11.8万人程度)を行っても、なお不足すると
見込まれる5万3,000人を上限として、特定技能外国人を受け入れることになっています。
2.外食業分野の現状
・外食業分野の飲食物調理や接客といった業務は、状況に応じて臨機応変に作業内容を
変える判断が必要となること、また手作り感やホスピタリティといった外食業
ならではの価値を作り出すことが求められること等から、機械化による省力化にも
限りがあるなど、生産年齢人口が大幅に減少する中で深刻な人手不足の状況が発生しています。
・2020年の外食業の有効求人倍率は、「飲食店主・店長」が4.6倍、「飲食物給仕係」が3.2倍、
「調理人」が2.0倍、「外食(各職業分類を加重平均したもの)」が2.2倍であり、全産業平均(1.1倍)
に比べると高い水準にあります。
また、2020年の外食業を含む「宿泊・飲食サービス業」の欠員率は2.9%と高水準にあり、
全産業平均(1.8%)より高い水準にあります。
(出典)農林水産省「外食業分野における新たな外国人材の受入れについて」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/attach/pdf/index.pdf
・外食業分野における外国人労働者数:約18.2万人のうち、留学生・家族滞在の
資格外活動が約6割を占めておりますが、留学生・家族滞在の資格外活動は
1週あたり28時間以内の労働時間制限がありますので、今までは外食業分野における
外国人労働者の就労は大変難しい状況でした。
(出典)農林水産省「外食業分野における新たな外国人材の受入れについて」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/attach/pdf/index.pdf
・今回の特定技能「外食業」は、留学生・家族滞在の資格外活動と比較すると、
1週あたり28時間以内の労働時間制限がなく、日本のフルタイムで働くスタッフと
同じ時間働けるため、より外国人を受け入れやすい制度です。
3.特定技能「外食業」の制度概要
・特定技能は、外食分野における深刻化する人手不足に対応するため、
一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れる制度です。
・特定技能「外食業」では、給与は同職種に従事する日本人と同等以上であり、
最長5年まで日本で就労可能です。
・外食分野の特定技能1号外国人が従事できる業務は、下記の通りです。
〇 1号特定技能外国人は、試験等で立証された能力を用いて、外食業全般(飲食物調理、
接客、店舗管理)に主として従事すること。ただし、在留期間全体の一部の期間において
「調理担当」など、特定の業務にのみ従事することも可能。
・飲食物調理:客に提供する飲食料品の調理、調整、製造を行うもの
・接客:客に飲食料品を提供するために必要な飲食物調理以外の業務を行うもの
・店舗管理:店舗の運営に必要となる上記2業務以外のもの
〇 あわせて、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(店舗において
原材料として使用する農林水産物の生産、店舗における調理品等以外の物品の販売等)に
付随的に従事することは差し支えない。
(出典)農林水産省「外食業分野における新たな外国人材の受入れについて」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/attach/pdf/index.pdf
4.特定技能「外食業」の資格取得の要件
・特定技能「外食業」の資格取得には、以下の2つの方法があります。
(1) 技能測定試験と日本語能力試験に合格
➀ 技能測定試験
「外食業特定技能1号技能測定試験」
外食業特定技能1号技能測定試験について |
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実施主体 |
一般社団法人外国人食品産業技能評価機構 |
試験言語 |
日本語 |
実施方法 |
ペーパーテスト方式 |
合格水準 |
満点(学科100点、実技100点、合計200点)の65%以上 |
試験時間 |
80分 |
試験問題数 |
45問程度 |
試験科目 |
➀学科 ・衛生管理:10問、満点40点 ・飲食物調理:10問、満点30点 ・接客全般:10問、満点30点 ➁実技 ・衛生管理:5問、満点40点 ・飲食物調理:5問、満点30点 ・接客全般:5問、満点30点 |
受験料 |
国内:7,000円 国外:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構のホームページ(http://ac.prometric-jp.com/testlist/food_service/index.html )をご確認ください。 |
試験日程 |
(国内) 一般社団法人外国人食品産業技能評価機構のホームページ (https://otaff1.jp/gaisyoku/)をご確認ください。 (国外) 一般社団法人外国人食品産業技能評価機構のホームページ (https://otaff1.jp/gaisyoku/?c=kokugai)をご確認ください。 |
(出典)一般社団法人外国人食品産業技能評価機構ホームページhttps://otaff1.jp/
➁ 日本語能力試験
「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」
日本語能力試験について |
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国際交流基金日本語基礎テスト |
日本語能力試験(N4以上) |
実施主体 |
国際交流基金 |
日本国際教育支援協会、 国際交流基金 |
問題数・ 試験時間・試験科目 |
約50問/60分間 文字と語彙(約12問) 会話と表現(約12問) 聴解(約12問) 読解(約12問) |
【N1】 言語知識・読解:110分 (目安:71問) 聴解:60分(目安:37問) 【N2】 言語知識・読解:110分 (目安:75問) 聴解:60分(目安:32問) 【N3】 言語知識・読解:70分 (目安:74問) 聴解:40分(目安:28問) 【N4】 言語知識・読解:57問 (目安:80問) 聴解:35分(目安:28問) |
試験言語 |
英語、中国語、インドネシア語、 クメール語、モンゴル語、ミャンマー語、ネパール語、タイ語、ベトナム語、ウズベク語 |
日本語 |
実施方法 |
コンピューター・ベースト・テスティング(CBT)方式 |
マークシート方式 |
受験料 |
日本:7,000円 海外:国により異なるため、プロメトリック社Webサイト (http://ac.prometric-jp.com/testlist/jfe/index.html) よりご確認ください。 |
日本:6,500円 海外:日本語能力試験JLPTホームページ https://www.jlpt.jp/application/overseas_list.html より各国の実施期間へお問合せください。 |
試験日程 |
国際交流基金ホームページのJFT-Basic2022年度テストスケジュール https://www.jpf.go.jp/jft-basic/schedule/pdf/test_schedule_2022.pdf よりご確認ください。 |
【日本】 2022年7月3日(日) 2022年12月4日(日)
【海外】 日本語能力試験JLPTホームページ https://www.jlpt.jp/application/overseas_list.html よりご確認ください。 |
(出典)国際交流基金 日本語基礎テストJFT Basic ホームページ
https://www.jpf.go.jp/jft-basic/
国際交流基金・日本国際教育支援協会 日本語能力試験JLPT ホームページ
https://www.jlpt.jp/index.html
(2)医療・福祉施設給食製造の「技能実習2号」を修了
・医療・福祉施設給食製造の「技能実習2号」を修了した方は、技能測定試験と
日本語能力試験の受験が免除され、受験せずに特定技能1号「外食業」へ
移行可能です。
5.特定技能「外食業」の受入れの状況
・外食業分野においては、2019年から2024年までの5年間に5万3,000人を
上限として特定技能外国人を受け入れることになっています。
しかし、新型コロナウィルス等感染症対策に伴う入国制限の影響もあり、
2021年12月末時点での介護分野における特定技能外国人数は1,985人となっており、
上限5万3,000人を大きく下回っています。今後2022年3月以降の入国制限の見直し等
により増加が期待できるでしょう。
6.特定技能「外食業」の受入れの要件
【就業場所】
・外食分野の特定技能1号外国人を受け入れる事業者は、当該外国人を飲食店、持ち帰り
飲食サービス業、配達飲食サービス業、給食事業者等の飲食サービス業を行っている
事業所に就労させること。
➀ 客(※)の注文に応じ調理した飲食料品、その他の飲食料品をその場で飲食させる
飲食サービス業(例:食堂、レストラン、料理店等の飲食店、喫茶店等)
➁ 飲食することを目的とした設備を事業所内に有さず、客の注文に応じ調理した
飲食料品を提供する持ち帰り飲食サービス業(例:持ち帰り専門店等)
③ 客の注文に応じ、事業所内で調理した飲食料品を客の求める場所に届ける
配達飲食サービス業(例:仕出し料理・弁当屋、宅配専門店、配食サービス事業等)
④ 客の求める場所において調理した飲食料品の提供を行う飲食サービス業
(例:ケータリングサービス店、給食事業所等)
※「客」とは、飲食料品を消費する者(注文や受取りについて、代理の者を介する場所
を含む。)
【雇用形態】
・直接雇用のみ
【業務内容】
・特定技能1号外国人は、試験等で立証された能力を用いて、外食業全般(飲食物調理、
接客、店舗管理)に主として従事すること。
ただし、在留期間全体の一部の期間において「調理担当」など、特定の業務にのみ
従事することも可能。
・飲食物調理:客に提供する飲食料品の調理、調整、製造を行うもの
・接客:客に飲食料品を提供するために必要な飲食物調理以外の業務を行うもの
・店舗管理:店舗の運営に必要となる上記2業務以外のもの
・あわせて、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務
(店舗において原材料として使用する農林水産物の生産、店舗における調理品等
以外の物品の販売等)に付随的に従事することは差し支えない。
【特定技能所属機関(受入れ企業)に特に課す条件】
➀ 特定技能1号外国人に対して、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
(以下「風俗営業法」という。)第2条第1項に規定する「風俗営業」及び同条第5項
に規定する「性風俗関連特殊営業」を営む営業所において就労を行わせないこと。
➁ 特定技能1号外国人に対して、風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を
行わせないこと。
※「風俗営業」及び「性風俗関連特殊営業」を営む営業所においては、「飲食物調理」、
「接客」、「店舗管理」の業務であっても、1号特定技能外国人を就労させることは
できません。
【報酬】
・日本人と同等額以上
【期間】
・最長5年
【支援項目】
・外食業事業者が外国人材を雇用する場合、主に下記①~⑩の支援内容について、
具体的にどのように行うかを定めた「支援計画」を事前に作成する必要があります。
尚、外国人材への支援は、事業者自身が行うか、「登録支援機関」に委託することが
できます。
<支援計画の概要>
➀ 事前ガイダンス
➁ 出入国する際の送迎
③ 住居確保・生活に必要な契約支援
④ 生活オリエンテーション
⑤ 公的手続き等への同行
⑥ 日本語学習の機会の提供
⑦ 相談・苦情への対応
⑧ 日本人との交流促進
⑨ 転職支援(※受入れ側都合の場合)
⑩ 定期的な面談・行政機関への通報
【特定技能協議会】
・最初に、外国人材を受け入れた場合は、受入れ後4ヵ月以内に、
食品産業特定技能協議会への加入が必要です。
・特定技能協議会への加入は、農林水産省ホームページ
(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/soumu/kyougikai.html)
から行うことができます。
(出典)農林水産省「外食業分野における新たな外国人材の受入れについて」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/attach/pdf/index.pdf
7.まとめ
・特定技能「外食業」の創設により、人手不足が深刻化している外食分野において、
即戦力となる外国人が受け入れやすくなりました。
・日本語能力への不安、生活面の不安などから外国人を雇用に慎重になっている
事業者様も多いと思いますが、将来を見据えて、今のうちから特定技能外国人の
受け入れをご検討してみてはいかがでしょうか。
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